その9 当時の落語会
この中でNET(現テレビ朝日)で放送されていた牧伸二司会の「東急文化寄席」は別にして、
ホール落語会といわれていたのは三越劇場・紀伊国屋ホール・イイノホール・東横劇場・国立
劇場で行われていた各会です。
ホール落語会については、新聞を丹念に見ていれば情報はそれなりに手に入りますし、
その会場もたやすく分かりました。然しながらそれ以外の催しについては、当時は我々一般人には
その案内が来にくいものでした。特定の噺家さんを聞く会、鑑賞組織による物、地域寄席といわれる
街で行われている催しなど様々な形態で落語会が、今ほどの数ではないにしても、開催されていた
ものだと思われますが、殆ど私はその存在を知りませんでしたし、その情報を入手するすべがあり
ませんでした。ど~も会は行っていても、やりたい人がやり、来たい人がくればいい、というような
極めて閉鎖的な世界に思えてなりませんでした。
「はなしをきく会」にしても、吉原の引き手茶屋「松葉屋」を会場に店の常連さんを対象とした
一年単位の会員制の落語会で、一般告知は余りされていませんでした。何かの折にメモしていた
電話番号に連絡したところ、割高になるがその日だけの入場もできるとのことで、掲載させて
もらいました。(創刊号には開催日を一週間ずれて掲載してしまい、出来上がったタブロイド紙と
菓子折りを持ってあやまりにお伺いしました。)